2024.11.29
「建物内におけるドローン配送」の研究成果については5月に以下の通り対外公表(https://www.rcast.u-tokyo.ac.jp/ja/news/release/20240522.html)しました。
本システムの有効性について分析を行なうため、荷物の脱着、上下飛行、バッテリーの交換などの配送プロセスを仮定し、実際の機体(PF2-AE Delivery;株式会社ACSL)の仕様を元に、現実に近い数理モデルを構築しました。そのうえで、仮想的な高層マンションの各家庭においてポワソン過程によって需要が生じると想定し、さまざまなドローンの台数に対して、配送のパフォーマンスを調べました。待ち行列理論に立脚した数理的な解析によって必要なドローンの台数などを求めることができたほか、モンテカルロ・シミュレーションによって一定の需要レベルまではエレベーターよりもドローンを活用した方が、早く、かつ少ない消費電力で配送が可能であることがわかりました。この研究で明らかになった、「大量輸送が得意なエレベーター配送」と「個別の即時対応が得意なドローン」という二つの特性の異なる輸送モードを組み合わせることによって生じるメリットは、他のドローンを活用したマルチモーダル(多様な輸送手段を用いた)物流システムにも重要な示唆を与えます。
尚、この研究成果は、交通工学分野で最もインパクトファクターの高い国際論文雑誌である「Communication in Transportation Research」に掲載された(Drone-based vertical delivery system for high-rise buildings: Multiple drones vs. a single elevator)ほか、日経新聞/マイナビニュース/CNET Japan/航空新聞社/IoT News/Drone.jp/LNews/PC Watch/Robot Business News/AMP/Logistics Today/文教速報/日本インタビュ新聞社/マテリアルフロー・プラス/住宅新報/ITmedia/大学ジャーナルオンライン/KoKaNet/子供の科学2024年8月号などの各メディアに取り上げられました。子供の科学2024年8月号では以下のような子供向けの記事にもなり、幅広い層がドローン配送に興味をもつことにつながったことも研究の副次的な成果となっています。